2014年11月11日

富山湾特有の高波から人、地域を守る仕事

廣川建設工業株式会社 (入善町)
土木部 山崎優志さん (38)

Q1.いまどんな仕事をしていますか?

下新川海岸・入善町吉原離岸堤の整備を担当しています。老朽化した20t型消波ブロックを撤去し、30t型消波ブロックなどを新たに設置する工事です。
この海岸では、富山湾の寄り回り波による高波災害がたびたび起こっています。海岸浸食を防ぎ、高波の影響による浸水被害を防ぎ、安全性を確保することが最大の目的です。私自身は現場代理人として、工程管理、安全管理、作業員への工事指示、発注者への提出書類の作成などを主な業務にしています。
朝6:30、消波ブロックの吊り上げに使うクローラクレーン(最大200t)搭載型の自社台船が魚津を出港し、下新川海岸へ向かいます。その前に、船長やクレーン運転士、作業員と今日の作業内容や危険ポイントの確認などを行います。そのあと、黒部の港に停泊している潜水士の船に行き、ここでも今日の作業内容や危険ポイントの確認などを行います。早朝から夕方、夜まで拘束時間が長いのが離岸堤工事の特徴です。

Q2.建設業で仕事をしようと思ったきっかけは? それはいつ頃ですか?

10代の頃、自分が将来何になりたいか、どんな仕事がしたいか、人生の設計図を描くことができず、悩んでいました。当時、父親が廣川建設工業で働いていたことがきっかけで、建設業で仕事をしようと思いました。

Q3.建設業で働く魅力はどんなところですか?

島国で、海岸線が長い日本には、海岸保全工事はなくてはならない仕事です。私どもが担当する下新川海岸・入善町吉原離岸堤の工期は今年1月から12月までですが、冬場、富山湾特有の寄り回り波など高波が発生するため、9月中旬までが勝負です。それまでに30トン型消波ブロックを500個投入しなければなりません。
工期内に仕事を終えるためには、GWやお盆など関係がありません。晴天で波が穏やかな日は仕事が優先です。離岸堤はすぐに出来上がるものではありません。段取りを考え、計画通りに進め、完成させたときの喜びはひとしおです。

Q4.この仕事の一番のやりがいは何ですか?

離岸堤の工事では、海面下に平板の根固めブロックや消波ブロックなどを設置していきます。大半は陸から見えない海の底です。ビルなどの建設現場では構造物が日に日に仕上がっていくのがわかりますが、離岸堤の一部はそうではありません。わかりにくい仕事です。
しかし、目に見えないところだからこそ、気が抜けません。しっかりと造っていかなければなりません。それが、高波災害から地域の安全・安心、周辺住民の人命と財産を守ることにつながります。そこにやりがいを感じます。

Q5.建設業は「3K」のイメージがありますが、どう思いますか?

海洋土木の仕事は確かに拘束時間が長く、仕事も「きつい」、海上で30t型消波ブロックを相手にするため「危険」、機械の油を取り扱うため「汚い」と、まさに「3K」ですが、専門的な技術、技能を磨くことで、10代、20代でも仕事を評価してもらえます。頑張っていれば、それに見合った給料もいただけます。私は20代で結婚し、マイホームを持つことができ、この仕事に就いて良かったと思っています。
会社では、「汚い」といったイメージを払拭するため、洒落たデザインの作業服を採用しています。仕事を終え、この服で同僚と食事に行くこともあります。

Q6.休日はどう過ごしていますか? 趣味はありますか?

子どもと触れ合う時間がなによりの幸せです。中学3年生の長男と小学5年生の長女がいますが、息子は小学生のときから野球をやっています。この息子の世話が趣味といえば趣味です(笑)。一緒にキャッチボールをしたり、バッティングセンターに連れ行ったり、野球部の保護者会の世話もしていました。来年、高校受験ですが、高校生になっても野球を続け、ぜひ甲子園に行ってほしいですね。親バカですが、それを楽しみにしています。

Q7.これまでで一番印象に残っている仕事はなんですか?

これまで、海上でのクレーン作業など現場での仕事を約10年、工程管理、安全管理などの仕事を約10年携わってきました。関わったすべての仕事が思い出深いのですが、自分の戒めとしていることがあります。仕事を始めたばかりの頃、海岸での人工リーフの工事中でした。大型クレーンでブロックを吊り上げているときにバランスを崩して、アーム、ブームもろともクレーンを倒したことがあります。とっさに運転席から飛び降り、幸いにも現場の方も自分自身もケガはありませんでしたが、クレーンを倒したこと自体が大きな事故。一歩間違えば、人命に関わる大惨事です。不注意、気の緩みがあったのでしょう。それ以降、機械の操作や安全確認、体調管理には人一倍気を付けるようになりました。

Q8.将来の目標は何ですか?

無事故で毎日の仕事を終えることができるよう、安全管理に取り組んでいきたいですね。これまで素晴らしい先輩に恵まれ、仕事を教えてもらいました。これからは中堅として、後輩に仕事を伝えていく立場です。定年まで頑張っていきたいと思っています。

Q9.建設業を志す方へアドバイス、メッセージを

どんな仕事でも初めの3年間は覚えなければならないことが多く、いろんな面できついと思うんです。
体力的にも大変でしょうが、ケガや健康に注意して何とか3年間を頑張ってほしい。一つや二つの失敗はどうってことはありません。石の上にも3年です。それを乗り越えれば、長く続けられます。その覚悟で入って来てほしい。
現場の1日の流れ
6:00 魚津で台船の船長、クレーン運転士、作業員と朝礼、打ち合わせ
6:30 台船、吉原離岸堤に向けて出港
7:00 黒部で潜水士らと朝礼、打ち合わせ、出港
8:00 入善町吉原離岸堤工事事務所で朝礼、打ち合わせ
8:30 台船到着、離岸堤作業開始
12:00 昼食・休憩
13:00 打ち合わせ
16:00~16:30 離岸堤作業終了、台船 魚津へ向けて離岸
17:00 確認、業務日報確認
19:00 帰宅

 
廣川建設工業株式会社
〒939-0611 富山県下新川郡入善町古黒部3124番地
TEL:0765-74-0222

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