2017年12月21日

黒部峡谷で砂防堰堤工事に汗 下流域の安全・安心を守ることにやりがい

大高建設株式会社 (黒部市)
土木部 鍛冶 大貴さん

Q1.いまどんな仕事をしていますか。

A.黒部川の支流、黒薙川の第2号下流砂防堰堤工事で現場代理人を務めています。元請けとして、施工管理に注力しています。この砂防堰堤は、黒薙川第1号上流砂防ダムの32m上流に位置し、完成すると堤長121.8m、堤高14.5mのコンクリート重力式スリット型砂防堰堤になります。数年に及ぶ建設計画で進められており、2017年11月末までに、コンクリート堰堤の本体と側壁を打設する計画です。
私は平成25年に入社してすぐにこの現場に入りました。現場事務所は、黒部峡谷鉄道の黒薙駅から隧道を30分ほど歩き、途中から車に乗って10分ほどのところにあります。工事中は宿舎に泊まり込んで仕事をします。工事ができる期間は、トロッコ電車が運転を始める5月から積雪前の11月下旬まで。冬は山間部の工事ができないので、街中の道路などの仕事に携わっています。

Q2.建設業を仕事にしようと思ったきっかけは。また、それはいつ頃ですか。

A.高校の土木科に入学して土木を学び、在学中に測量士の資格を取得しましたので、それを生かしたいと思い大高建設に入社しました。高校卒業時点で2級土木施工管理技士の学科試験に合格していましたので、入社後に実務経験を積み実地試験を受けて資格を得ました。

Q3.建設業への入職の不安はありましたか。また、実際に働いてみてどう思いましたか。

A.同年齢の社員もいなかったので、初めて会う人たちの中で馴染めるかどうか不安でした。現場で働きながら、先輩たちとコミュニケーションをとり、仲良くなっていったという感じです。毎日同じ現場で顔を合わせて仕事をしますから、徐々に気心は知れてきますね。宿舎で寝食をともにするので、家族のような存在になります。

Q4.建設業で働く魅力はどんなところですか。

A.構造物ができあがっていく中で感じる達成感です。製造業の工場などのようにいつも同じような流れ作業ではなく、建設現場ではゼロから少しずつものを作り上げていきます。あともう少しで完成というところで得られる達成感が一番の魅力だと思います。

Q5.この仕事の一番のやりがいは何ですか?

A.黒薙川第2号下流砂防堰堤は、下流域への土砂災害の防止を目的に建設されています。大量の土砂が一度に流出しないように、また、河床が削られることも防ぐので斜面の崩壊を抑える効果もあります。堰堤を建設することにより、下流域で生活する方々の安全を守ることにつながるわけです。そこに大きなやりがいを感じています。

Q6.建設業は3Kというイメージがありますが、どう思いますか。

A.ちょっとやそっとでは立ち入ることができない大自然の中で巨大な構造物を作っていくわけですから、危険といえば危険です。ですからKY活動をしっかり行っています。
毎日の天気、気象情報にも気を付け、雨が降って足元が悪くなるなどの危険に対してどういう対策を取るかを現場の作業員と話し合います。雨量が多い時は川がどれくらい増水するかを見極め、早めに仕事を切り上げ下山することもあります。作業員の日々の健康管理も私たち技術者の大切な仕事で、熱中症にならないよう宿舎では体温や血圧測定なども行っています。緊急の場合にヘリコプターを要請できるよう、ヘリポートのような離着陸できる場所を設けています。

Q7.休日はどのように過ごされていますか。

A.基本的には月曜の朝にトロッコ電車で黒部峡谷に入り、土曜の午後に宇奈月に戻ってきます。大自然の中での仕事なので、その反動で休日は街なかへ繰り出して友人とショッピングをしたり、BBQを楽しんだりしています。コンビニにもよく行きます。当たり前ですが山にはありません。あると便利ですよね。アウトドアショップでグッズはよく買いますが、山にずっといるので、登山はしたくありません(笑)。

Q8.今までで一番印象に残っている仕事は何ですか。また、失敗したことはありますか。

A.入社してから、ずっと黒薙川第2号下流砂防堰堤工事の現場です。それぞれの工程で印象に残っていることはたくさんあります。測量を間違えて、やり直したことはありますが、これまで大きな失敗はありませんね。
ここは山深くの現場ですから、建設資材は届きません。河原から石を調達し、コンクリートなどの工事に必要な資材は自前で作っています。そのためのプラントもあります。工事の進捗状況を見ながらの資材を管理するのは難しいですね。重機などはバラしてヘリコプターで運び入れています。

Q9.将来の目標は何ですか。

A.黒薙川第2号下流砂防堰堤工事はまだまだ続きます。毎日の仕事にしっかりと向き合っていきたいです。5~6年後に1級土木施工管理技士の受験資格が得られるので、ぜひチャレンジしたいと思っています。監理技術者として仕事を任せられるような立場になりたいですね。また近年、ドローンなど最新機器の導入が進んでいます。弊社では操縦の研修もあります。操縦に慣れ、上空からの写真撮影の腕を上げることも目標です。

Q10.建設業を志す人へのアドバイス、メッセージを。

A.建設業は大きな達成感を得られる仕事。私自身も強くやりがいを感じています。進路の選択に間違いはなかったと思います。大自然の中で働いていると、季節をとても感じます。特に黒部峡谷の紅葉は美しいですね。11月頃には山頂に雪が積もりはじめ、紅葉とともに絶景を楽しめます。

現場の1日の流れ

就業時間は当社就業規則により、作業及び休憩時間を下記のとおりとしています。

 

鉄道通勤時

7:10~8:30 本社発~現場事務所
8:10~8:30 朝礼・体操・KYK
8:30~8:40 始業前点検
8:30~10:00 作業
10:00~10:15 休憩
10:15~12:00 作業
12:00~13:00 昼休憩
13:00~15:00 作業
15:00~15:15 休憩
15:15~15:40 作業
15:40~16:00 後片付・清掃・終了確認
16:00~17:00 通勤

 

宿泊時

7:00~7:20 朝礼・体操・KYK
7:20~7:30 始業前点検
7:30~10:00 作業
10:00~10:15 休憩
10:15~12:00 作業
12:00~13:00 昼休憩
13:00~15:00 作業
15:00~15:15 休憩
15:15~17:40 作業
17:40~17:50 後片付・清掃・終了確認
17:50~18:00 通勤

なお、残業は必要に応じて行っています。

ページトップ ▲