射水建設興業株式会社(高岡市)
土木部 金塚 歩美さん
Q1.いまどんな仕事をしていますか。
小矢部川に架かる向田橋の耐震補強工事の現場管理を担当しています。いま橋脚の表面を保護するために塗るモルタルを攪拌していたところです。自然を相手にしていますので、作業がスムーズに進まないことも多く、何回も壁にぶち当たっては作業員の皆さんと一緒に解決策を見つけています。働いて15年。能越自動車道や護岸工事などいろんな工事に携わってきました。
Q2.男性社会というイメージが強いですが、建設業を仕事にしようと思ったきっかけは。また、それはいつ頃ですか。
中学生のときに石川工業高等専門学校土木科への進学を決め、入学して勉強していくうちに土木の世界の魅力に触れていったという感じですね。在学中に能登空港の建設現場を見学する機会があり、大きなダンプカーが動いているのを見て、おもしろそうな仕事だと思いました。それが強く印象に残っています。
Q3.建設業への入職の不安はありましたか。また、実際に働いてみてどう思いましたか。
入社した2000年はバブル期が終わり、就職氷河期の時代でしたが、弊社は女性社員でもやる気があれば是非という感じであったため、石川から富山に来ました。男性の多い職場だと、女性の扱いに困るということもあるとは思いますが、私が入社したときに5~6歳年上の女性社員がすでにいらしたので、男性社員は皆さん慣れていてバリアも張らず、仕事をしやすい環境にはありました。富山は縁もゆかりもなく初めての土地でしたが、なんのしがらみもなくてのびのびと仕事をしてきました。富山弁は全然知りませんでしたが、もうすっかり慣れました(笑)。富山弁を使うと、作業員の人と馴染めますね。仕事をお願いするときも富山弁の方が言いやすかったりしますから。
Q4.「女性が働きやすい職場」とはどのようなものだと思いますか。
私は5歳の男の子と1歳の女の子を育てています。子どもが熱を出すなど突発的なことがあって急に帰らなくてはいけないこともあります。職場の男性側がいろいろと理解してくれるとありがたいですね。男性の職員に気兼ねなしにお休みを頂ける環境は、働くママにとっては働きやすい職場と言えると思います。また弊社には、産休から1年間の育児休暇制度があります。最初の子を出産したときは復帰できるか不安でしたが、会社に理解があり、育休をいただきました。2人目のときもそうです。育休中に会社に子どもを連れていったこともあり、ベテランママから子育てのアドバイスをもらって実践していました。
育休で1年間完全に技術者が抜けるわけですから、会社としてはデメリットが多いと思いますが、辛抱強く待っていただいた会社には本当に感謝しています。
Q5.建設業で働く魅力、やりがいはどんなところですか。
昨年、築堤と樋門(堤防を通り抜ける水路)という難しい構造物の建設を最初から完成まで担当しました。2~3年前に川が氾濫し、田畑が水に浸かって大きな被害が出たところです。施工監理や工程管理、役所との打ち合わせなど、大変良い経験になりました。工事現場には地元の方も見に来られ、いろんな要望もお聞きしました。無事に完成し、最後に検査官が「合格です」といわれた瞬間は最高にうれしかったですね。地域の安全・安心に貢献できたと強く感じました。達成感とやりがいを感じる瞬間。大変な現場であればあるほど、工事が終わった瞬間のほっとする感覚が忘れられません。鮮明に覚えているものです。
Q6.建設業は3Kというイメージがありますが、どう思いますか。
イメージが先走っていると思います。どんな仕事でもきっと初めは“きつい”と思います。いかに慣れるか。3年くらい同じ仕事に携わっていけば、ある程度慣れてくると思います。“汚い”というのもイメージ。弊社(今の)の現場は整然としたきれいな現場だと思います。いかにきれいな現場を作っていくかが仕事です。“危険”については、作業員の命を預かり、安全に仕事をしてもらうための環境を作るのが、私の仕事。“危険”の一言でイメージされたくはありません。
Q7.休日はどのように過ごされていますか。
家事や家族サービスに時間を使いますね。特に家族と過ごす時間を大切にしています。仕事でうまくいかなかったとき、子どもに愚痴を言うと、「ママ、妖怪が取りついているよ。がんばれ」と励ましてくれます。子どもの言葉で気持ちを切り替えられますね。上の男の子はショベルカーに興味があるので、休みに現場を見せることはあります。釣堀に行ったりもします。お正月には、伊勢神宮や名古屋の水族館などに行ってきました。
Q8.今後の目標はありますか。
仕事と子育てを両立させるため、いかに時間を有効活用して、能率よく仕事に取り組むかを課題にがんばっています。女性でも1つの現場を担当できること、仕事と子育てを両立できるということをどんどん発信していきたいですね。そんな女性がもう少し増えればうれしい。ロールモデルというか、仕事が魅力的だということを伝えていきたいです。結婚・出産を迎える後輩が安心して育児休暇を取り、笑顔で仕事に戻ってこられるようにサポートしたいとも思っています。
Q9.建設業を志す女性へのアドバイス、メッセージを。
男社会はさっぱりとしていてラクな面があります。その日は意見の相違があっても、次の日になれば打ち解けて普通に接することもあるでしょう。当社は男女同じ待遇で、男性だから女性だからといったハンディはありません。現場での書類整理などパソコンを使った仕事も多くなってきています。女性に無理な仕事ではないということです。体力的には劣りますから、そこは男性にお願いすることもありますが、書類整理も結構な仕事量なので、整理の得意な女性の方が向いているのではないかという気もします。女性だから難しいということではないと思います。もっと現場の状況を見てもらい、学生の方に知っていただきたいですね。
現場の1日の流れ
7:50~8:00 |
朝礼、ラジオ体操 |
8:00~8:10 |
作業前打ち合わせ KY活動 |
8:10~ |
作業開始 |
12:00~13:00 |
昼食・休憩 |
13:00 |
安全確認、打ち合わせ、作業開始 |
16:50~17:00 |
作業終了・後片付け |
17:00~ |
明日の作業確認、事務仕事 |
18:00~ |
帰宅 |
射水建設興業株式会社
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