2020年3月2日

構造物建設の要となる地質調査にやりがい

株式会社東城 (魚津市)
土木部 地質調査課 課長 曽出 信宏さん
土木部 地質調査課 清水 結衣さん

Q1.いまどんな仕事をしていますか。

曽出 現在、黒部市から魚津市にかけて工事が進められている主要地方道宇奈月大沢野線バイパス工事を設計するにあたっての地質調査に携わっています。県内で地質調査を手掛けている建設会社は数少なく、新川地区では弊社だけだと思います。地質調査では、試掘・ボーリングの後、土質の解析・分析、判定を行い、報告書を作成します。なかには「得体の知れない土砂を調べてほしい」といった依頼もあり、カドミウムや水銀などの有害物質が土壌に含まれていないか調査することもあります。
清水 地質調査課には5人のメンバーが所属しています。私は就職してまだ1年半と経験が浅く、土砂採取の補助、分析した土砂のデータの入力や報告書の作成を行っています。

Q2.男性社会というイメージが強いですが、建設業の仕事に就こうと思ったきっかけは。また、それはいつ頃ですか。

清水 中学生のときから建設業に興味がありました。それで桜井高校土木科へ入学したのですが、入ってみると40人のクラスで女性は私一人だけでした。
曽出 私は、富山県立技術短大(当時)と岐阜大大学院で、温暖化や植物の調査など環境について学んだことがきっかけです。

Q3.建設業への入職の不安はありましたか。また、実際に働いてみてどう思いましたか。

清水 高校で3年間、土木について学んできたので不安はありませんでした。社内や現場は面倒見のいい人ばかりで、丁寧に仕事を教えてくださいます。力仕事もそんなに多くありませんし、重いものを運ぶ必要があるときは皆さん手伝ってくれます。周囲の環境には恵まれていると思いますね。
曽出 最初は環境調査の仕事をしたくて、大学院修了後に長野の調査会社に就職しました。そのとき配属されたのが地質調査部門で、最初は戸惑うこともありましたが、地質の仕事も奥が深く、やりがいがあると感じました。そこで6年勤務したのち、今の会社に転職して7年目になりました。

Q4.「女性が働きやすい職場」とはどのようなものだと思いますか。また、その方向に変わりつつあると思いますか。

清水 事務系部門では女性が働いていますが、地質調査部門の女性採用は私が初めてでした。そのため、トイレの改修や更衣室の設置など働きやすい環境を整えてくださいました。また、育休制度もあり、将来、結婚して子どもを育てながら働くこともできるので安心です。
曽出 女性活躍の場は増えてきているため、会社は清水さんに期待して採用したのだと思います。女性が働きやすい職場は男性にとっても働きやすい職場です。今後も働き方改革が進められることで、休日の充実や時短など、働きやすい環境に向かっていくと思います。

Q5.建設業で働く魅力はどんなところですか。

曽出 地質調査は擁壁・橋脚など道路構造物や住宅などを建設する前に、地盤がそれに耐えられるかを調べる重要な仕事です。軟弱な地盤に建設すると、構造物が沈下したり倒壊したりするおそれがあります。現状の地盤では建設できないと判断した場合は、地盤改良を行って補強することを提案します。
清水 この仕事は、試掘や調査など外で行う仕事と、分析や報告書作成など内勤があることからメリハリを感じられる魅力があります。

Q6.今まで建設業の仕事に携わってきて、一番のやりがいとは何ですか。

曽出 まず土砂が粘土質なのか、砂地なのか、水を通しやすいのか通しにくいのかを判断します。また、河川が氾濫して堆積した地層なのか、古代の地形はどうだったのかと推察するのも楽しく、やりがいにつながっています。
清水 仕事で関わった現場が後で道路になっていたり、工場が建っていたりするとうれしいですね。工事を行う基礎の段階で、その手助けができることにやりがいを感じています。

Q7.建設業は3Kというイメージがありますが、どう思いますか。

曽出 建設現場では、安全管理の徹底やICTの導入が進み、3Kと呼ばれた職場環境は改善されてきたと思います。たとえば、ドローンで測量したデータをICT建機に取り込むことで、丁張などの作業をしなくても掘削作業に入れるようになりました。ただ、地質調査の分野は、試掘して土砂を採取し、乾かして分析するなど、まだまだ人の手で行う作業が多く、発展の余地があると思います。今後のICT化に期待しています。
清水 現場を知らない方には力仕事のイメージが強いと思いますが、女性ができる職種は広がっていると思います。

Q8.休日はどのように過ごされていますか。

清水 友人とショッピングやドライブに出かけています。高校でサッカー部のマネージャーをしていたので、テレビでサッカー観戦することも多いですね。
曽出 働き方改革で休日が増えています。第3土曜以外の土曜と日曜は休みです。子どもがまだ5歳と小さいので、休日は家族サービスですね。

Q9.今までで一番印象に残っている仕事は何ですか。

曽出 最近では、北陸自動車道の富山西インター近くの企業団地の造成工事現場です。もともと田畑が広がっていた場所で、上部は粘土層の地質でした。とにかく広大な現場で、何カ所も試掘して試験したことが印象に残っています。
清水私はまだ経験が浅いので、入社して携わったいずれの現場も印象に残っています。

Q10.将来の目標は何ですか。

清水 求められている以上の仕事ができるよう、知識、経験を積んでいきたいと思います。高校では測量士補、危険物取扱者2級の資格を取り、最近は住宅地盤調査技士を取得しましたが、今後も地質調査技士など仕事に必要な資格を取得していきたいですね。
曽出 お客さまに的確な提案をしていくことです。また、清水さんをはじめ、後輩をしっかり育てていきたいですね。特に清水さんは、女性ならではの視点や考えを活かしながら、能力を高めていってほしいです。

Q10.建設業を志す人へのアドバイス、メッセージを。

清水 ドローンやICTをはじめ、技術は日々進歩しています。若い人のIT知識も活かせるので、ぜひ建設業を志してください。
曽出 建設業に就職した後も、長く仕事を続けてほしいと思います。建設業に限った話ではありませんが、誠実さを忘れず、人とのコミュニケーションを大切にしてお互いの信頼関係を深めながら、仕事をしてほしいと思います。

現場の1日の流れ
8:00~8:10 出社・朝礼
8:10~12:00 現場調査・内業(報告書作成、お客様との技術的な打合せ等)
12:00~13:00 休憩・昼⾷
13:00~17:00 現場調査・内業(報告書作成、お客様との技術的な打合せ等)
17:00 終礼・帰宅
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